文ちゃ文ちゃんのひとりごと No.121

2010年 2月


受験のシーズンがやって来ました。
誰でもが、受験の思い出があることでしょう。
苦いやら、嬉しいやら、思い出すのも嫌というのやら・・・。

半世紀近く前、48年前、昭和37年、東京都立戸山高校受験の時のことが、私のいちばんの思い出です。

当時の東京では、公立高校全盛時代で、日比谷高校、戸山高校、新宿高校、西高校といったところが、激戦高校でありました。
戸山高校は、昔の東京府立四中。
学区は、東京第3学区。世田谷区、目黒区、渋谷区、新宿区の中学校から勉強好きの少年少女が挑戦します。

わたしもその頃までは、勉強が出来ていたので(笑)挑戦しました。

試験は、3月1日と2日の二日ありました。
初日は、みぞれ交じりの氷雨が降り続ける底冷えの一日でした。
もちろん暖房なんかはありません。

その日の夜、母親は、薬屋に行って「白金カイロ」を買ってきました。
翌朝、弁当と一緒にカイロに火を着けて持たしてくれました。
その日は、前日と打って変わって、ぽかぽか陽気の一日でした。
白金カイロの存在を忘れるぐらいの温かい一日でした。
学生服のポケットに入っていたカイロの暖かさは、袋の別珍の感触と共に今でも、手に甦ってきます。

試験は、合格でした!
今でしたら、電話で結果を報告するでしょうが、その頃は違います。
帰宅に気づいた母が、あわてて出てきて
「どうやった?」
「通ってた!」

「ほんまに文ちゃんは親孝行やねー」と言って、抱きしめてくれました。
後にも先にも、母親から「親孝行」と言われたのは、その一回きりでありました。

母は、高校3年生の秋に、54歳で亡くなりました。

写真は、先月の戸山高校同窓会でのものです。

【そこで今月のひとりごと】

高校では、成績最底辺層をうろついていた頃もありました。
母は「文ちゃん神の子、やれば出来る」と、励まし続けてくれました。


「勇気が生まれる 心のわすれもの」
神戸から世界に伝えたい、”61”の超短編小説!

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